全国的な人気を誇る特別列車、リゾートしらかみ。
ローカル線の中でも屈指の人気を誇る、五能線を駆け抜ける特別な列車です。
青森駅や弘前駅から、五所川原を経て日本海側を通って秋田駅まで、全行程約5時間の快速列車です。
青森から秋田まで結ぶ列車のため、長距離乗らないと楽しめない列車だと誤解されがちですが、実は青森県内だけでも十分楽しめる列車です。
リゾートしらかみの人気の秘密と、五能線の景色や途中駅からの観光、そしてお手軽なツアープランについて紹介していきます。
五能線を駆ける「しらかみ三兄弟」
青森県川部駅から秋田県東能代駅までを結ぶ五能線は、白神山地の近くを通るだけでなく、奇岩が並ぶ日本海沿岸を走る地方路線。
強風や暴風雪の際に運休するなど、天候の影響を受けやすいのが難点ではありますが、車窓から眺める景色は雄大で見ごたえがあります。
リゾートしらかみは、そんな五能線を存分に満喫できるリゾートトレインです。
車両の外観も美しいため、撮り鉄と呼ばれる鉄道マニアにも人気で、車窓からも大きなカメラを構えた人影を目にすることがよくあります。
しかし、やはり一番の醍醐味は車内の乗り心地と車窓からの景色。
乗車して、まず驚かされるのが窓の大きさ。

シートの肘掛けくらいまであり、座席に腰掛けた状態でも窓枠を気にすること無く景色を楽しめます。
ゆったりとしたリクライニング可能なシートは、全席指定。
自由席の争奪戦とは無縁なので、乗車時も焦る必要が無く、ゆっくりと自分の座席を探せます。

1号車・4号車には展望席が設けられています。
運転席の後ろに設定された正面を向く席は、運転士気分でお子さまにも人気です。
窓側に向けたシートもあるので、座りながら真正面で景色を楽しむこともできます。
そんなリゾートしらかみですが、一番のオススメは、何と言っても2号車のボックスシート。
こちらは、通路側こそ開いているものの、最大4名まで座れる個室感あるスペシャルな座席です。
そのまま座るのはもちろん、なんと簡単な操作でフラットシートにすることができるんです。

向かい合った1ボックス4席分をフラットにすると、広々とした寝転がれるシートになります。
これだと、小さなお子さまも安心して長時間乗車できますし、大人でも靴を脱いでのびのびと過ごせます。
リゾートしらかみの一部列車では乗車中に「ふれあい販売」が行われます。
五能線沿線の方が、列車の中や駅のホームでスイーツや木工品、おみやげなどを販売。
リゾートしらかみの旅の記念におすすめです。
現在運行している車両は三種類、愛称は「しらかみ三兄弟」。
基本的な編成は全て同じですが、それぞれに特長があります。

・くまげら
2023年時点で一番先輩となる車両が「くまげら」です。
その名の通り、白神山地に生息するくまげらをイメージした車両になっています。

・青池
2010年デビューのハイブリッド車両。
白神山地の麓、十二湖にある青池をイメージした車両です。

・橅(ぶな)
2016年デビューの現在最新の車両。
ボックスシートをフルフラットにできるのは、一部の座席のみですので予約時に注意が必要です。
車内には橅編成にしかない「ORAHOカウンター」と呼ばれるフリースペースがあります。
弘前〜五所川原のみどころ・遊びどころ
弘前駅を出て、一旦青森駅方面へ進むリゾートしらかみ。
五能線との分岐点である川部駅でスイッチバック、つまり進行方向が逆になり、五所川原方面へ進みます。
そのため、通常は座席の向きが弘前から川部の間は進行方向に背を向ける状態になっています。
さて、川部駅から五能線へ入ると、りんご畑が続きます。
りんごの有名な品種「ふじ」発祥の地・藤崎駅や板柳駅周辺は、両側にりんご畑、そして畑越しに岩木山が見えてきます。

弘前側とは形が少し違う岩木山を堪能できます。
五所川原駅は奥津軽への玄関口。
津軽鉄道の津軽五所川原駅と連結しています。
以下、五所川原駅の有名観光名所を紹介します。
立佞武多の館
五所川原駅から徒歩7分程。
本物の立佞武多(たちねぷた)が展示されており、観覧できます。
施設名 | 立佞武多の館 |
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場所 | 〒037-0054 青森県五所川原市上平井町97 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 元日 |
電話 | 0173-38-3232 |
公式 | ・HP |
その他 | 駐車場有 |
モホドリ蒸溜研究所
五所川原駅から徒歩6分程。
りんごのブランデーなどを醸造・販売しているのみでなく、設備や作業の様子の見学、有料試飲などもできます。
施設名 | モホドリ蒸溜研究所 |
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場所 | 〒037-0063 青森県五所川原市大町508-5 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 月曜 |
電話 | 0173-23-5805 |
公式 | ・HP |
その他 | 駐車場有(別店舗を挟んだ所) |
ELM
五所川原駅からバスで6分程。弘前市民も買い物に出かける大型ショッピングモールです。
施設名 | ELM(エルム) |
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場所 | 〒037-0004 青森県五所川原市唐笠柳藤巻6517-1 |
営業時間 | 10:00~21:00(店舗によって異なる) |
定休日 | なし |
電話 | 0173-33-4000 |
公式 | ・HP |
その他 | 駐車場有 |
五所川原〜鰺ヶ沢のみどころ・遊びどころ
リゾートしらかみ車内では、五所川原駅〜鰺ヶ沢駅間で、津軽三味線の生演奏が行われます。
演奏は車内放送で全車両に流れますので、席に居るままでも楽しめます。
車窓を楽しみながら津軽の音に耳を傾けると、旅情が掻き立てられますよ。
鰺ヶ沢駅で降りたらぜひ訪れてほしいのは、下記の施設。
たこやき西海:チキンボー

鰺ヶ沢と言えばチキンボー!

鰺ヶ沢駅前のたこやき西海で買える、串刺しの鶏唐揚げです。
オーダーしてから揚げてくれる、素朴で美味しいチキンボーは、鰺ヶ沢で下車するなら、立ち寄って食べたい地元民のソウルフードです。
店名 | たこ焼き西海 |
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場所 | 〒038-2761 青森県鰺ヶ沢町舞戸町下富田29-115 |
営業時間 | 9:00~20:00 |
定休日 | 第1、第3水曜 |
電話 | 0173-72-5937 |
公式 | - |
その他 | ・駐車場有 |
鰺ヶ沢温泉水軍の宿

鰺ヶ沢駅から徒歩10分、日帰り入浴もできる温泉宿泊施設です。
施設名 | 鰺ヶ沢温泉水軍の宿(日帰り) |
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場所 | 〒038-2761 青森県鰺ヶ沢町舞戸町下富田26-1 |
営業時間 | 8:00~21:00 |
定休日 | なし |
電話 | 0173-72-6511 |
公式 | ・HP |
その他 | 駐車場有 |
鰺ヶ沢〜深浦のみどころ・遊びどころ

このエリアの見どころと言えば、なんと言っても「千畳敷海岸」です。
津軽の殿様が畳を千畳も敷いて楽しんだとされる海岸。
リゾートしらかみは、一部を除き千畳敷駅では停車時間を長く取って散策できるように配慮されています。
ほんの少しの時間でも、外に出られるのは長旅の中でありがたいですし、なんと言っても実際に千畳敷を散策できるのでお子さんも大喜びです。
発車3分前には、戻っておいでの汽笛が鳴りますので、乗り遅れないようにご注意くださいね。
深浦〜県境のみどころ・遊びどころ
深浦~県境までの停車駅は、深浦駅・ウェスパ椿山駅・十二湖駅。
十二湖駅の次、岩舘駅からは、本格的に秋田県に入っていきます。
十二湖駅〜岩館駅の県境付近が海岸線の中でもとりわけ奇岩が多く、リゾートしらかみの特長である大きな窓から眺める絶景は、まさに風光明媚。

この区間では景色を楽しめるよう減速運転になる心配りも嬉しいですね。
主な駅からの観光名所などは以下の通りです。
黄金崎不老ふ死温泉
絶景の露天風呂で有名な不老ふ死温泉は、深浦の次の停車駅・ウェスパ椿山駅が最寄りです。
リゾートしらかみの発着時間に合わせて送迎バスが出ていますよ。
施設名 | 黄金崎不老ふ死温泉 |
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場所 | 〒 038-2327 青森県深浦町舮作下清滝15 |
営業時間 | 日帰り利用は時期や混雑状況などにより変動します。事前にご確認ください。 |
定休日 | なし |
電話 | 0173-74-3500 |
公式 | ・HP |
その他 | 駐車場有 |
青池
十二湖駅からは、バスで青池まで出ることができます。
青池の色は天候に左右されるものの、良いお天気だと本当に美しく印象的です。
スポット名 | 青池 |
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場所 | 〒038-2206 青森県西津軽郡深浦町松神 |
営業時間 | - |
定休日 | - |
電話 | - |
公式 | |
その他 | 弘南バス「十二湖駅前」で乗車し、「奥十二湖駐車場」で下車後、徒歩6分程で到着します。 |
五能線の車窓を満喫! 日帰りコース
弘前駅からリゾートしらかみで秋田駅まで行くと、片道5時間。
特急ではなく快速列車なので、いくら快適な車内でもなかなか辛いのが正直なところです。
そこで、五能線以外の電車も使って時短しながら、車窓からの風景を満喫できる日帰りプランを考えてみました。
もちろん、筆者が実際に乗車体験済です。
名物である日本海の奇岩を楽しめるプランですので、ぜひご乗車してみてくださいね。
(時刻は2023年10月現在のものです)
09:40 弘前駅発
↓奥羽本線・特急つがる2号
10:56 東能代駅着
11:00 東能代駅発
↓五能線 普通列車
11:37 あきた白神駅着
12:37 あきた白神駅発
↓五能線 リゾートしらかみ3号
15:49 弘前駅着
半日たっぷりお出かけになりますが、海がお好きな方、写真を撮りたい方にはオススメです。
ちなみにこのコースの乗車券は、自動券売機では発券できません。
みどりの窓口で経路を伝えて発券してもらうと、弘前から弘前までという面白い乗車券になりますよ。

また、あきた白神駅で1時間ほど空き時間があります。
小さな駅ですので、駅で待つのはちょっと退屈。
そこで、下記の施設へ立ち寄ってみるのがおすすめです。
いさりび温泉ハタハタ館/八峰町農林水産直売所 ぶりこ

あきた白神駅から跨線橋(スカイロード)を通って徒歩5分で、向かいにあるいさりび温泉ハタハタ館。
日帰り入浴可能で、露天風呂からは日本海が一望できます。
入浴しなくても、隣接する直売所「ぶりこ」でお買い物しても良さそうです。
あきた白神駅から深浦駅までは、窓からの海岸美を堪能できますし、千畳敷での下車散策も楽しめます。
施設名 | 八森いさりび温泉ハタハタ館 |
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場所 | 〒018-2617 秋田県山本郡八峰町八森御所の台51 |
営業時間 | 9:00~21:00 |
定休日 | なし |
電話 | 0185-77-2770 |
公式 | ・HP |
その他 | 駐車場有 |
店名 | 八峰町農林水産直売所 ぶりこ |
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場所 | 〒018-2617 秋田県山本郡八峰町八森字御処の台51 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | なし |
電話 | 0185-70-4020 |
公式 | |
その他 | 駐車場有 |
リゾートしらかみの車内を楽しむ県内コース
車両そのものが人気のリゾートしらかみを、楽しむための県内往復コースです。
往復どちらもリゾートしらかみを利用でき、一気に3種類中2種類に乗車できます。
海はちょっぴりしか見えませんが、電車好きなお子さんと一緒に車内を楽しむにはちょうどよいプランです。
(時刻は2023年10月現在のものです)
08:48 弘前駅発
↓五能線 リゾートしらかみ2号
09:52 鰺ヶ沢駅着
11:44 鯵ヶ沢駅発
↓五能線 リゾートしらかみ1号
12:48 弘前駅着
鰺ヶ沢駅で2時間ほど空き時間があります。

上記でも紹介した徒歩10分のところにある温泉、水軍の宿でひと休みはいかがでしょう。
こちらは日帰り入浴が可能ですが、お風呂道具は持参必須です。
ぬる湯には様々な大きさの丸石が敷き詰めてあり、歩くと足裏が刺激されます。
痛くて歩けないというほどではありませんので、疲れた足裏を軽くほぐすのにちょうど良いです。
あつ湯も入りやすい温度で、しかもサウナと水風呂もある、とても充実した大浴場です。
さらに、露天風呂は海こそ見えないものの、舟形で木の香りが心地よく、のんびりと過ごせます。
駅周辺に美味しいラーメン屋さんもあるので、早めの昼食を食べて帰ったり、チキンボーなどを買い込んで車内でゆっくり食べるというのも楽しいです。
早い時間に弘前へ戻れて、リゾートしらかみを満喫できる充実のコースです。
まとめ
人気のリゾート列車、リゾートしらかみについて紹介してきました。
リゾート列車ではありますが、弘前から近距離で片道だけでも乗車可能です。
ちょっと青森まで、五所川原まで。
そんな時にも乗車できるのが嬉しいですね。
ただし、こちらの列車は全席指定です。
快速列車ですので特急料金はかかりませんが、1区間のみの乗車であっても、必ず座席指定をした上で、指定席券の購入が必要です。
通常の座席については、特急券などを発券できるタイプの自動販売機で座席指定・購入が可能です。

オススメの広々と貸し切り個室気分を味わえるボックスシートも運賃・料金は通常の指定席と同じです。
ただし、自動券売機では予約不可になっています。
みどりの窓口のある駅で、係員さんに相談の上ご予約ください。
また、みどりの窓口の無い駅で乗車する場合は、予め大きな駅できっぷを予約・購入ください。
リゾートしらかみではA席が海側になっているため、A席から予約が埋まります。
海側の席でゆっくり車窓を楽しみたい方は、早めのご予約をオススメします。
日本海の雄大な景色を楽しめるだけでなく、電車の旅を快適に過ごすことができる、リゾートしらかみ。
弘前観光のついでに、あるいは弘前に住みながらぷち旅気分で、ぜひご乗車ください。