【太宰治まなびの家】小説片手に文豪気分が味わえるかも!?



「人間失格」「斜陽」など、数々の有名作品を生み出した津軽の文豪・太宰治。
太宰治はどんな人物で、どのような生活を送っていたのでしょうか。

太宰治は青年時代「旧制弘前高等学校〈現・弘前大学〉」へ通学し、旧制弘前高等学校の近くにある藤田家の部屋を借りていました。
この藤田家は、現在「太宰治まなびの家」として保存され、多くの観光客でにぎわっています。
今回は観光地としてにぎわっている「太宰治まなびの家」について紹介したいと思います。

多くの署名が集まって保存された「太宰治まなびの家」


青森県弘前市弘前大学の近くにある、太宰治まなびの家こと藤田家は、2004年頃県道109号線の拡張工事の予定地として藤田家が入っていることから、取り壊される予定でした。
しかしながら、太宰治の友人の一人であり太宰治研究家として高名な小野正文〈おのまさふみ〉氏が発起した下宿保存会の人たちが中心となって、太宰治が過ごした藤田家を保存すべく奔走。

小野正文氏ら下宿保存会の人達が多くの署名活動を行い、太宰治が過ごした藤田家保存を弘前市や青森県へ嘆願した結果、取り壊しが中止され保存されることになったそうです。
こうして保存された藤田家は、現在、弘前市指定有形文化財に認定され、太宰治が過ごした部屋を多くの観光客が訪れるようになりました。

藤田家は太宰治とどのような関係性だったのでしょうか?
当時の藤田家の主である藤田豊三郎は、太宰の親戚である津島忠次郎の娘・いちと結婚しておりました。

そのような親戚関係があり、太宰治は旧制弘前高等学校〈現・弘前大学〉へ入学する際、この藤田家を下宿先に選んで住んでいたそうです
藤田家は太宰治のほかにも奥さんや藤田豊三郎の長男・次男も一緒に住んでいましたが、いったいどれぐらいの広さを持った家なのでしょうか。

とっても広い藤田家




現在太宰治学びの家として公開されている藤田家。
藤田家の家屋はもともと碇ヶ関〈いかりがせきむら:現在の平川市〉の村長宅でしたが、大正10年に藤田家が買い取り、弘前市へ移築されました。

余談ですが、藤田家は「中廊下型平面〈平面の中央を廊下が通って、この間を挟んで居住区画や台所などが配置されている〉」と呼ばれる大正時代の建築スタイルとして現存している貴重な建物で、一階は現在の広さで表すと1LDK以上あったそうです。

太宰治が過ごした二階の部屋は押入・出窓・縁側が付いた六畳一間だったそうです。
下宿先としてはかなり広い部屋で過ごしていたといえるのではないでしょうか。
家賃は太宰治が払っていたわけではなく、実家の津島家が払っていました。
この部屋で太宰治は勉学と趣味に励みつつ、学生時代を謳歌していたそうです。

また太宰治が過ごした六畳一間の隣には藤田家の長男・本太郎が暮らし、太宰治の写真を撮りながら仲良く過ごしていたそうです。
このように当時の藤田家はとっても大きい家でしたが、現在は太宰治まなびの家として保存され、観光スポットとして賑わっています

この太宰治まなびの家にはどのような物が展示されているのでしょうか。
ここからは太宰治が過ごした部屋の展示物について紹介したいと思います。

【見どころその1】太宰治が愛用した勉強机




太宰治まなびの家の見どころその1は太宰治が愛用した机ですが、特に何か変わったところがあるわけではなく、小さな引き出しがある何の変哲のない小さな机です。
しかしながらこちらの机には太宰治のエピソードがたくさん詰まっています。

例えば太宰治は官立弘前高校へ通っていた際、江戸時代の文化、とくに三味線を使って語る義太夫にはまっており、この机に蓄音機をおいて三味線を弾いて遊んでいたそうです。
また太宰治は官立弘前高校時代に同人誌・細胞文芸を出版しており、もしかしたらその作品もこの小さな机で書いていたかもしれません。

余談ですが、その作品の表紙イラストも太宰治が描いていたとされています。
この小さな机にはここで紹介した以外にも様々なエピソードが詰まっています。
そんなエピソードを思い出しながら見学して頂くと感慨深いものがあります。
太宰治が生きていた時代へ思いをはせてみてはいかがでしょうか。

【見どころその2】太宰治の押入れの落書き




太宰治まなびの家の見どころその2としましては、太宰治が書いた落書きです。
この落書きは押入れ上部のなかなか気づきにくい場所に描かれていますので、注意深くご覧いただければと思います。
青年時代の太宰治の落書きが書かれているのはこの太宰治まなびの家だけです。
ぜひご覧ください。

【見どころその3】一階にある座敷




太宰治まなびの家の見どころその3としましては一階の座敷です。
藤田家は上記でお話させていただきましたが、大正時代にできた家屋をそのまま保存しております。

そのため太宰治の部屋の他にも、一階の座敷から大正時代の雰囲気を味わうことができます。
一階に太宰治まなびの家を訪れた方がくつろげる休憩スペースが設けられており、大正時代の家屋の雰囲気を味わいながらのんびりと休憩したり、自分で持ってきた小説や太宰治が書いた本の世界を楽しんだりできます。
ぜひこちらの休憩スペースでゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

太宰ファン以外にも文学好きが集える場所にしたい




ここまで太宰治まなびの家の見どころについていろいろと紹介してきました。
ここからは太宰治のまなびの家の今後の展望について太宰治まなびの家の広報担当者様にお話を伺うことが出来ましたので、紹介したいと思います。

太宰治まなびの家・広報担当者様「今後の展望としましては現在太宰治まなびの家では太宰治に関連するイベントを開催しています。
例えば、太宰治が書いた小説の朗読会や、太宰治が書いた小説を原作とした演劇などのイベントを開催しています。
しかしながら今後は、大正時代に活躍した太宰以外の文豪の小説朗読会なども行っていきたいと考えています。
多くの文豪好きの方に集ってもらえるような場所を提供できるようにしたいと思います。」とおっしゃっていました。

太宰治まなびの家では太宰治が尊敬してやまない芥川龍之介の130年アニバーサリーイベントとして、芥川龍之介が書いた小説の朗読会を開催しています。
この様に太宰治以外にも様々なイベントを今後も開催していく予定らしいので、太宰治まなびの家を訪れる前にHPのチェックも忘れずに。

まとめ


今回は青森県弘前市にある太宰治まなびの家についていろいろと紹介しました。
余談ですが、太宰治まなびの家には、いろいろとエピソードを語りながら太宰治の部屋を案内してくれるガイドさんがいらっしゃいますので、ぜひご活用ください。
こちらは繁忙期では案内出来ない可能性がありますので、事前にお電話もしくはお問い合わせフォームから確認してみてください。
次回も弘前市にある観光スポットや地元の方オススメの飲食店などを紹介していきますので、ぜひ次回もお楽しみに。

〇施設名:太宰治まなびの家(旧藤田家住宅)
〇場所:青森県弘前市御幸町
〇電話:0172-39-1134
〇営業時間:10:00~16:00
〇定休日:年末年始
〇公式:HP https://dazaiosamumanabinoie.amebaownd.com/
〇その他:入館料無料

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