【ao+水玉】暮らしを彩る 温かく優しいものたちが並ぶ雑貨店

土手町通を弘前城方面へ進み「一番町の坂」を上りきった辺りに広がる細長いエリア、元寺町。
その名の通り、かつては寺院があったものの、現在は国登録の有形文化財でもある三上ビルなど、目を引く建物が散在しつつ、穏やかな空気感に包まれています。
そんな元寺町にある、暮らしの道具を扱う雑貨店「ao+水玉(アオトミズタマ)」をご紹介します。

日々の暮らしを彩る 雑貨たちが並ぶ優しい空間




雑貨屋さん、と単純に表現するとちょっと違う。
そんな雰囲気のあるお店、ao+水玉。
取り扱っているのは、暮らしの道具たち。
それは、キッチンで使うようなものだったり、リビングでお茶やご飯を楽しむものだったり。
あるいは、普段着として使える優しい風合いのお洋服や、ちょっぴりおめかしに使えるアクセサリー。
暮らしを楽しむために、手元にあるとそれだけで心が弾むような商品たちです。

「身の周りにあるものや食べるもの、身にまとうもの。
日々の営みにすべては繋がっていて、心地よく暮らすためのものを手の届く範囲でご紹介する場所にしたかったのです。」
ao+水玉の店主、千葉さんはそう話します。

誰かに見せるためではなく、自分の暮らしを彩るために。
家族や大切な仲間と家で過ごす時間を楽しくするために。
日常使いしやすい商品が並ぶ店内は、静かで優しい時間が流れています。

店主の千葉さんは、ご自身でお店を始める前に、ヨーロッパのアンティークを扱うお店で働いていました。
「店頭でのお客様への接客だけでなく、ディスプレイや商品管理をしたり、そしてアンティークの買い付けに同行させていただいたり、本当に幅広く色々な経験をさせていただきました。」
こうした経験を元にしつつ、千葉さんの想いを大切にしながら創られている空間がao+水玉なのです。

最初の店舗は住吉町 ao+水玉のはじまり




現在は元寺町にあるao+水玉ですが、最初の店舗は住吉町でした。
現在、弘前れんが倉庫美術館がある吉野町緑地のほど近くにオープンしたのは2013年9月のこと。
「最初のお店をオープンしたときは、美術館がまだありませんでした。
毎日通るたびに、少しずつ美術館が出来上がっていく様子が、ちょっとした楽しみでした。」

住吉町の店舗は10坪ほど。
こぢんまりとしたお店ではありますが、雑貨好きな方や、近辺をお散歩する方などが気軽に入りやすい雰囲気を持った場所でもありました。
住吉町で8年ほど営業していましたが、残念なことに大家さんから店舗取り壊しの連絡が入ります。
「2021年内に、取り壊すことになっていると聞きました。
慣れ親しんだ場所でしたから寂しさもありました。
ですが、お店が次のステップへ進むタイミングだったのかもしれないと、今は感じています。」

運良く、次はここでと思う物件に出逢うことができたため、移転準備のために2021年7月に最初の店舗は閉店としました。
「閉店する頃、店舗周辺の道路工事が進んでいました。
かなり雰囲気が変わってしまいましたから、そういう意味でも移転して良かったのかもしれません。」

そして元寺町へ ao+水玉のお引越し




弘前市内で物件をいくつか見て回った千葉さん。
どれも悪くないけど、自分のお店ができるイメージが浮かばず、なかなか決めかねている中で、とある場所と出逢います 。
「実は、不動産の貸店舗情報もなかったのですが、ずっと気になっていた場所だったんです。
お世話になった不動産屋さんに、ここの中を見てみたいと相談してみたところ、大変親切に動いてくださったんです。」
不動産屋さんの尽力のおかげで、なんと大家さんが見つかり、中を見せてもらうことができたのだそうです。

「シャッターを開けて、中を拝見したときに、ああ、ここだって。
もう心が決まった感じでした。」
かれこれ10年近くも使われてなかった場所、それなのに大事に使われてきたことがわかる雰囲気。
「ガランとして、なにもなかったけれど、ここでお店をしているイメージが自然と浮かんできました。」
様々な物件を回りながら、最後に千葉さんが見て心惹かれた場所、それが今の元寺町の店舗です。
前の店舗に比べると3倍ぐらい広くなり、その分家賃も高くなり、不安がなかったといえば嘘になりますが、この場所だったら今までと違う商品の見せ方や、ワークショップなども出来るとわくわくしました、と千葉さんは話します。

場所が決まれば、次は商品を並べるための空間へと改装する必要がありました。
「内装は、実はそんなに大きくは手を加えていないんです。
正面の大きなガラス扉だってそのまま使ってガラスを丁寧に磨きました。
床材もそのまま、汚れだけとにかく一生懸命に拭いて磨いて。
みなさんにすごくいい床ですねって言ってもらえるので嬉しいです。」

できる作業は、まずは自分たちで。
壁をはがしたり、ペンキを塗ったり、カウンターを創ったり。
細かい所を含めると、本当に色々と手をかけていったのだそうです。
「きっと、全部専門の業者さんにお願いしてやってもらったほうが、早く出来上がっただろうし、もっときれいに仕上げてくれただろうとわかってはいました。
でも、自分で考えて手を動かしてカタチになったものには、もっと愛着がわくんじゃないかなと思ったんです。」

暑い日の作業は、体力的にも大変でしたが、今となってはいい思い出だと千葉さんは言います。
それでもどうしても自分たちの手に負えないところ、例えば試着室のように壁の仕切りなどが必要な部分は、専門の方にお願いしたのだそうです。
「いろいろアドバイスもいただいたり、職人さんたちの仕事を間近で見させていただいたりもして、やっぱりすごいなと感心してしまいました。
とても丁寧に仕上げてくださり、感謝しています。」

店舗という「ハコ」を整えたら、今度は商品を並べる棚やテーブルと言った什器類も必要です。
自分たちで作ったものだけでは足りず、買い付けたものもあるそうです。
「古道具にこだわっているのではなく、自然と古いものが集まっている感じがします。
弘前には素敵な古道具をご紹介しているお店がたくさんあるので、少しずつその時に出会ったものでよいものがあれば使わせていただいてます。
あとは、お客様からお店で良かったら使ってくださいと古い什器をいただいたり、譲り受けることもあったので、それもありがたく、大事に使わせていただいてます。」
こうして、シャッターに閉ざされ長く眠っていた空間に、新しい息吹が吹き込まれました。
2021年8月、ao+水玉は現在の店舗で新しい一歩を踏み出しました。

ao+水玉 これまでとこれからと




お洒落でいて、気取りすぎない雰囲気。
ao+水玉はそんなお店なのですが、実はディスプレイについては、あまり得意じゃないんですと千葉さんは笑います。
とにかくまず大切にしているのは、お客様が手に取りやすいように、実際に家で使ったときのイメージがしやすいように心がけているのだそうです。
「置く場所によって物の見え方が変わるのが面白いなと感じます。
その商品が、一番よく見える居場所を探してあげるイメージで並べています。」

取り扱っている作家さんたちは、開店当初は本当に少なかったと言います。
コロナ禍前は、クラフトフェアや展示会に出向き、気に入った商品があれば作家さんに声がけして少しずつご縁が繋がり、広がってきたのだそうです。
「体に優しくて美味しいもの、日常着や暮らしを豊かにしてくれる道具たち。
そして手仕事を感じさせる作家さんの作品など。
セレクトしているものは、ジャンルを絞ってはいません。
新しいモノや古いモノ、作り手かプロダクトか、ブランドや値段といったジャンルにとらわれて選ぶより、素直に心に響いたものをご紹介したいです。」

特別なものじゃなくても、暮らしに取り入れることで嬉しくなったり、ずっと大切に使いたくなったりと愛着がもてるもの。
千葉さん自身が実際に使ってみて、良さを実感したものなどを、生活者の目線でセレクトした商品たちが並ぶ店内は、やさしい雰囲気に包まれています。

最初の店舗から変わらずにいることも大切ですが、これからのao+水玉について千葉さんはどんなことを考えているのでしょう。
「お店を広く使えるようになった分、もっといろいろな商品の見せ方ができるのかなと思案中です。
それから、作り手さんをお招きして、実際に手を動かして制作している様子を見て頂く機会を作れたらいいなと考えています。
また、ワークショップなどお客さまご自身で体験することでつくる楽しさや難しさ、知識を深める。
そんな体験も提案していけたらなと思っています。」

コロナ禍でここ数年できずにいた、様々な場所へ出向いて、作家さんから直接お話を聞いたり、触れたりする機会を持てたらと千葉さんは言います。
これまでのことを大切にしつつ、新しいことにもゆるやかに挑戦していこうとしているao+水玉。
気にはなっていたけれど、まだ入ったことが無い方へ、千葉さんからメッセージをいただきました。

「お店に並んでるものは日々の暮らしの道具や日用品です。
時々テーマを設けた企画展や展示会なども開催しています。
実際に見て、触れて、聞いて。
その中でいいなと感じたものを日々の暮らしの仲間に加えていただけたならとてもうれしく思います。
皆さんにとって暮らしを楽しむきっかけや、ものとの出会いの場になれば幸いです。
どうぞお気軽にお立ち寄りくださいね。」


〇店名:ao+水玉(アオトミズタマ)
〇場所:弘前市元寺町21番地 1F
〇電話:0172-55-9962
〇営業時間:公式Instagramにてご確認ください
〇公式:オンラインショップ  https://aotomizutama.theshop.jp/
    Instagram  https://instagram.com/aotomizutama
          

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