【弘前市 津軽藩ねぷた村】「金魚ねぷた絵付け体験」青森・津軽の伝統をあなたの手で

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弘前市にある「津軽藩ねぷた村」は、津軽の伝統を五感で堪能できる観光スポットです。
津軽三味線やねぷた囃子の演奏、郷土料理やお土産を楽しめるだけでなく、伝統工芸品の制作体験も充実しています。


その中でも特に注目したいのが、「金魚ねぷた」の絵付け体験。


今回は、青森県の伝統工芸士として認定されている檜山和大(ひやまかずひろ)さんにお話を伺いながら、金魚ねぷた絵付け体験に挑戦しました。




〇店名:津軽藩ねぷた村
〇場所:青森県弘前市亀甲町61
〇電話:0172‐39‐1511
〇営業時間:
・見学・体験エリア・ショッピングエリア 9:00~17:00
・お食事処・旨米屋 11:00~15:00
〇定休日:年中無休
〇公式:HP(http://neputamura.com/
〇その他:金魚ねぷた絵付け体験(2,000円/90分)
※高温のロウを使用するので注意しましょう。
※事前予約をするとスムーズに体験することができます。



青森県の伝統工芸品・金魚ねぷたとは?

画像:「青森県の伝統工芸品(金魚ねぷた)」青森県庁

なるほど!金魚ねぷたの歴史とモデル


金魚ねぷたは、その名の通り、金魚の形をした灯篭です。
ねぷたまつりの際に、子供が金魚ねぷたを提灯のように持って歩く姿を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。


そんな金魚ねぷたの歴史は、江戸時代にまでさかのぼります。


当時、金魚を飼うことができたのはお殿様などの上流階級のみでした。
そのため、庶民は金魚に強い憧れを抱いたのだそうです。


そこで人々は金魚ねぷたを作り、お祭りのときなどに持って練り歩くようになったとされています。


金魚ねぷたのモデルになったとされているのは「津軽錦」と呼ばれる地金魚です。
津軽錦の特徴は、尾が体の2〜3倍も大きく、背びれがないこと。
金魚ねぷたもその形を取り入れています。


ちなみに、顔の左右に取り付けられた白い飾りは、を表しているのだそうです。


金魚ねぷたが伝統工芸品に認定されるまで


このように、江戸時代から長く愛されてきた金魚ねぷたですが、青森県の伝統工芸として認定されたのは2021年と、比較的最近のこと。


その認定に尽力したのが、今回お話を伺った、檜山和大さんです。


それまで金魚ねぷたは、伝統工芸品ではなく民芸品だという認識が強く、県の伝統工芸品として認定されていなかったのだそうです。


それを見かねた檜山さんは様々な資料を用意し、県への申請活動を行いました。
そして、晴れて金魚ねぷたは2021年に県の伝統工芸として指定されました。


檜山さんは、県から金魚ねぷたの第一号の伝統工芸士としても認定され、現在も金魚ねぷたの制作や指導に携わっています。


絵付け体験の工程1:墨で顔の輪郭を描く



ここからは、金魚ねぷたの制作過程をご紹介します。


まず、金魚の顔を墨で描きます。
墨で描くのは、目や口、鼻やエラの部分です。


目に関しては、顔を四分割して、左上・右上の目を描くあたりに小さく点を打ってから始めると描きやすいです。
鼻の孔はスイカの種をイメージするとスムーズに描くことができます。



筆者も挑戦してみましたが、金魚ねぷたの目を丸く美しく描くのは意外と難しいです……。


顔が球体のような立体的な形をしているので、筆が滑り、きれいな真円を描くことができないのです。
繰り返しの練習が必要だと感じました。


「皆さん、平面で書くのは慣れているけど、こういった立体のものに描くのは難しいですよね」と檜山さん。
檜山さんも、金魚ねぷたを描き始めた当初は、フリーハンドで丸い目を描けるように半年ほどひたすら練習していたとお話しします。


ちなみに、金魚の表情は、笑った顔や口を結んだ顔、ウインクした顔など自由にアレンジしてOKです!


金魚ねぷたの顔は、地域や職人によって異なります。
そのため、檜山さんも「とらわれずに自由に描いてもらいたい」と仰います。


絵付け体験の工程2:ロウ描き

顔の輪郭が描けたら、次はロウ描きに進みます。
ここで使用するのは、約150℃に加熱された高温のロウです。


このロウを筆に取り、墨の上から塗り重ねたり、鱗や尾ひれなどの細かい部分を描いたりします。


紙の上にロウを重ねることで紙が半透明になるので、中に明かりを灯したときに、その光がきれいに通ります。
津軽地方の「扇ねぷた」にも、同じ技法が用いられていますね。


また、ロウ描きは、染料の色同士が混ざらないようにするガードとしても重要な役割を果たします。


ロウ描きのコツとしては「こまめに筆にロウを付けて、筆の温度を高いまま保つこと」!
筆の温度が下がってしまうとロウが固まってしまうためです。


そのため、一度筆にロウをつけてそのまま繰り返し描くのではなく、こまめにロウを付け足すことが大切なのです。


檜山さんは「筆の温度が下がってしまうと紙への浸透が不十分になり、染料も滲んでしまうんです。」とお話ししていました。



また、ロウは少し重たい質感なので、油断すると太い線になりやすいです。
筆者も鼻の穴の細かい部分をうっかり塗りつぶしてしまいました……。


鍋のふちで余分なロウを落として毛先を整え、集中して作業することが大切です。

絵付け体験の工程3:染料で鮮やかに色付け

ロウ描きが完了したら、いよいよ染料での色付けに進みます。
金魚ねぷたに使われる染料は、ピンク黄色の三色。


目の周りに黄色、エラの部分にピンクを使い、他の部分は赤で塗ります(もちろん、アレンジしてもOKです)。
染料はさらさらとした水のような質感で、すっと紙に染み込みます。


前の工程で述べた通り、ロウで描かれた部分は染料を弾くため、その部分は色がつきません。
ただ、ロウの上から染料を重ねると、ロウが染料を弾いたような跡が残ります。


早い時点で拭き取るとこの跡は消えるそうなのですが、残すかどうかも自由です。



檜山さんによれば、そういった細かい部分の処理の仕方も絵師によって異なるのだそうです。


例えば、ねぷた絵師の三浦呑龍(みうらどんりゅう)さんは、ロウが弾いた染料の跡をそのまま残すスタイルなのだそうで、檜山さんも「近くで見るとその特徴を見ることができますよ」とお話ししてくださいました。


金魚ねぷたをつくることで、青森の夏の風物詩・ねぷたに関する知識も得られるので、夏をこれまで以上にぐっと楽しむことができそうですね。


完成!

完成しました!
できあがった金魚ねぷたは、に入れて持ち帰ることができます。


お家に飾ったり、ねぷたまつりの際に持ち歩いたりしてもよさそうですね。


想像していたよりも難しかったのですが、いざ作り終えてみるとやはり愛着が湧きます


皆さんもぜひ、自分だけの金魚ねぷたをつくってみてください。


最後に


今回は、津軽藩ねぷた村の「金魚ねぷた絵付け体験」をご紹介しました。


津軽藩ねぷた村ではこの体験の他にも、「津軽凧絵付け」体験(1,800円/90分)や「下川原焼(したかわらやき)鳩笛」制作体験(2,000円/60分)、「津軽塗」制作体験(3,000円/75分~90分)などの体験をすることができます!


いずれも2時間程度で体験できますので、ぜひ旅のスケジュールに組み込んでみてください!


金魚ねぷた絵付け体験は、青森の歴史や伝統に触れ、自分だけの金魚ねぷたを作れる貴重な機会です。
津軽の伝統工芸を学び、楽しみながら作品を完成させる中で、津軽の人々が小さな頃から慣れ親しんできた文化を感じることができます。


青森県に訪れる機会があれば、ぜひ弘前の津軽藩ねぷた村で金魚ねぷた絵付け体験に挑戦し、鮮やかな思い出をお持ち帰りください。


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