【旧弘前偕行社】明治時代のレトロな趣が楽しめる!

歴史・文化

掲載日:2022年11月11日

青森県弘前市には明治時代や大正時代の建造物を修復して、現在も利用している建物がたくさんあります。

例えば、弘前城の近くにある「石場旅館」。
こちらは以前弘前Naviでも取り上げましたが、明治時代に開業した旅館です。
石場旅館の内部は明治時代から継承された建物を修繕したもので、正面入り口にある太鼓橋や奥にある柱時計などからは明治の時代の雰囲気を感じることができます。


他にも明治時代から続く老舗の和菓子屋・菓子司みしまなどの飲食店がある弘前市ですが、今回紹介するのも明治時代の雰囲気を感じる観光スポットです。
その観光スポットの名前は「旧弘前偕行社」です。


こちらは明治40年に建てられた場所ですが、いったいどのような目的で建てられたのでしょうか。
また旧弘前偕行社の見どころはいったいどこなのでしょうか。


今回は旧弘前偕行社について色々と紹介したいと思います。



軍人の親睦・研究などを目的とした建物



旧弘前偕行社はいったいどのような目的で建てられたのでしょうか。


旧弘前偕行社が建てられたのは、明治40年〈1907年〉。
弘前に駐屯地があった第八師団の将校たちが親睦を深める社交場や、軍用品の販売、研究などを行う施設として建築されました。


この旧弘前偕行社の建築に携わったのは、明治時代の名棟梁として知られる堀江佐吉氏です。堀江佐吉氏は弘前市出身の人物で、彼が手掛けた建造物は1500棟を超えるといわれています。
現在では旧第五十九銀行店舗や旧弘前図書館などが残っており、旧弘前偕行社もその一つです。


名棟梁として名をはせた堀江佐吉が手掛けた旧弘前偕行社ですが、老朽化が激しく平成25年から修復工事を開始。
7年の歳月を費やして、令和2年にリニューアルオープンしました。


現在は観光スポットとして運営されていますが、その他にも弘前厚生学院〈保育士や介護福祉士などを育成する専門学校〉の入学式・卒業式や、学生が利用するキャンパス、一般企業が開催するイベント会場としても活用されています。


このようにシーンに合わせて活用されている旧弘前偕行社ですが、観光スポットとしても人気のある場所で、多くの観光客でにぎわっています。
そこでここからは旧弘前偕行社の見どころについて紹介していきたいと思います。



【旧弘前偕行社おすすめスポット1】第八師団にちなんだ蜂のレリーフ



旧弘前偕行社は館内・館外ともにいろいろと見どころのある観光スポットですが、到着したらぜひ見てほしいオススメスポットがあります。


それは旧弘前偕行社の玄関の車寄せの上にある「蜂」のレリーフです。
蜂のレリーフは唐草模様に仕上げられていますが、なぜ「蜂」のレリーフが飾られているのでしょうか。


弘前に創設された旧陸軍第八師団の「八」の字に因んで「蜂」のレリーフが飾られているそうです。
ちょっと見つけにくい場所にありますが、旧弘前偕行社へ来たら見学してほしいオススメのスポットです。



【旧弘前偕行社おすすめスポット2】嘉仁親王が愛した庭園



旧弘前偕行社のおすすめスポットその2は庭ですが、こちらの庭はちょっと特別な思いが込められています。
旧弘前偕行社は、元々は現在の場所ではなく、弘前大学の構内に建設された師団司令部の一部にあったそうです。



その後明治40年〈1907年〉に現在の場所へ移転しました。
現在の場所は津軽藩の9代目藩主の別邸跡があった場所で、弘前市内の庭園の中でも屈指の名庭園と呼ばれるほど美しい場所であったそうです。


この名庭園に建築された旧弘前偕行社へある人物が宿泊することになります。
その人物はのちの大正天皇として知られる嘉仁親王でした。
嘉仁親王はこの庭園をとっても気に入り「遑止園〈こうしえん:心が休まるという意味〉」の名前を付け、松を自分の手で植えたそうです。


現在では嘉仁親王が植えた松の他に桜やつつじなどが植えられ、弘前の有名なお祭りの一つである「弘前さくらまつり」の季節になると遑止園全体に桜が咲き誇り、見ごたえのある景観を見学者へ見せてくれます。
また冬の季節になると遑止園全体に雪が積もって、白一色の幻想的な景色を見ることができます。


このように四季折々の姿を楽しませてくれる遑止園も、旧弘前偕行社に訪れたらぜひ見てほしいオススメスポットの一つです。ぜひご覧ください。



【旧弘前偕行社おすすめスポット3】意匠が異なるシャンデリア



旧弘前偕行社のおすすめスポットその3は館内に設置されているシャンデリアです。


こちらのシャンデリアは客室以外にも受付や書籍室などに設置されていますが、それぞれ意匠が異なっています。
例えば受付や書籍室に設置されているシャンデリアは凝った意匠ではなく、簡単なつくりのものが設置されています。


北側と南側にある客室内にあるシャンデリアは、第八師団の師団長や偉い方が利用していた客室で、意匠もかなり凝っています。
このように意匠の違うシャンデリアを見つけながら見学するのも旧弘前偕行社をめぐる楽しみの一つですので、ぜひ違いを見つけてみてはいかがでしょうか。



旧弘前偕行社のオススメのめぐり方



上記で旧弘前偕行社のおすすめスポットについて紹介しました。


しかしながら注意深く館内を見学していないと上記で紹介したおすすめスポットを見逃してしまう可能性があります。


そのため、旧弘前偕行社を巡る際、ガイド付きの見学がオススメです。
旧弘前偕行社の専属スタッフが、観光客へ館内を解説しながら紹介してくれますので、見逃すことなく楽しむことができます。


旧弘前偕行社を巡る際はガイド付きの見学をしてみてはいかがでしょうか。



次の世代へと継承していく



ここまで旧弘前偕行社のおすすめスポットや成り立ちについて紹介してきましたが、今後の展望について伺うことができましたので、紹介したいと思います。


旧弘前偕行社・広報担当者様「旧弘前偕行社は令和2年にリニューアルオープンを果たしましたが、ちょうどその時期に新型コロナウィルスが蔓延し、日本全国で緊急事態宣言が発令されました。
そのため休館になることが多く、認知度拡大のため大々的な告知ができませんでした。


しかし今年になってようやく緊急事態宣言が解除され、多くの観光客の方が弘前市内を訪れるようになりましたので、いろいろな方にこの施設を告知していき、県内外問わず多くの人に知られる観光名所として認知度アップを目指していきたいです。


現在では県内外の企業様の貸し切りイベントを開催したり、パンフレットの配布をしながら認知度拡大を図っています。
また認知度アップを図りながら、明治時代から継承されてきたこの建物を次の世代へと継承し、歴史や建造物を残していきたいと考えています。」と仰っていました。


弘前市内には明治時代や大正時代から続く建造物を修復して利用している施設が多くあります。
明治時代から残されている建造物の歴史や雰囲気が、後世にまでずっと残ればいいなと思いました。


皆様もぜひ弘前市へ遊びに来たら、こちらの旧弘前偕行社で明治時代の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。



まとめ



今回は旧弘前偕行社について色々と紹介してきました。


余談ですが、こちらの旧弘前偕行社を訪れる観光客は、弘前市内の貸し自転車を使って訪れる方が多いそうです。
貸し自転車を使って弘前城から旧弘前偕行社を観光し、その後電車を利用して旅館やホテルへ帰る方が多いのだとか。


皆様も弘前市内を貸自転車で周りながら、カフェやランチを楽しんだ後にこちらの旧弘前偕行社を訪れてみてはいかがでしょうか。


今回のように弘前市内にある観光スポットや飲食店などを今後もいろいろと紹介していきますので、次回もぜひお楽しみに。

施設名

旧弘前偕行社

場所

〒036-8185 青森県弘前市御幸町8-10

営業時間

9:30~16:30

定休日

毎週火曜日、年末年始

電話

0172-33-0588

公式

・HP https://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/shisetsu/kyuuhirosakikaikousya.html

その他

・入館料:一般 300円 小・中学生 100円(団体各100円引)
・障がい者、65歳以上の市民、市内の小・中学生と外国人留学生、ひろさき多子家族応援パスポート持参の人は無料。詳細は公式サイトをご確認ください。
・ガイドは事前予約が必要です。

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