青森県弘前市には明治時代や大正時代の建造物を修復して、現在も利用している建物が数多く残されています。
弘前大学の近くにある旧弘前偕行社もその一つ。
明治40年に建てられ、時代とともに様々な使われ方をしてきた建物です。
今回は旧弘前偕行社の歴史や見所をご紹介します。
施設名 | 旧弘前偕行社 |
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場所 | 〒036-8185 青森県弘前市御幸町8-10 |
営業時間 | 9:30~16:30 |
定休日 | 毎週火曜日、年末年始 |
電話 | |
公式 | ・HP https://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/shisetsu/kyuuhirosakikaikousya.html |
その他 | ・入館料:一般 300円 小・中学生 100円(団体各100円引) |
軍人の親睦・研究などを目的とした建物

旧弘前偕行社が建てられたのは、明治40年〈1907年〉。
弘前に駐屯地があった第八師団の将校たちが親睦を深める社交場や、軍用品の販売、研究などを行う施設として建築されました。
この旧弘前偕行社の建築に携わったのは、明治時代の名棟梁として知られる堀江佐吉氏です。
堀江佐吉氏は弘前市出身の人物で、彼が手掛けた建造物は1500棟を超えるといわれています。
現在では旧第五十九銀行店舗や旧弘前図書館などが残っており、旧弘前偕行社もその一つです。
名棟梁として名をはせた堀江佐吉が手掛けた旧弘前偕行社ですが、老朽化が激しく平成25年から修復工事を開始。
7年の歳月を費やして、令和2年にリニューアルオープンしました。
現在はおもに貸会場として運営されており、演奏会や一般企業が開催するイベント会場としても活用されています。
このようにシーンに合わせて活用されている旧弘前偕行社ですが、観光スポットとしても人気のある場所で、多くの観光客でにぎわっています。
そこでここからは旧弘前偕行社の見所について紹介していきたいと思います。
【旧弘前偕行社おすすめスポット1】第八師団にちなんだ蜂のレリーフ

まず紹介するオススメスポットは、旧弘前偕行社の玄関の車寄せの上にある「蜂」のレリーフです。
蜂のレリーフは唐草模様に仕上げられており、弘前に創設された旧陸軍第八師団の「八」の字に因んで「蜂」のレリーフが飾られています。
やや見つけにくい場所に位置していますが、ぜひ見つけてみてください。
【旧弘前偕行社おすすめスポット2】嘉仁親王が愛した庭園

次に紹介するおすすめスポットは、建物の前に広がる庭「遑止園」です。
こちらの庭には特別な思いが込められています。
旧弘前偕行社は、元々は現在の場所ではなく、弘前大学の構内に建設された師団司令部の一部にありました。
その後明治40年〈1907年〉に現在の場所へ移転しました。
現在の場所は津軽藩の9代目藩主の別邸跡があった場所で、弘前市内の庭園の中でも屈指の名庭園と呼ばれるほど美しい場所であったそうです。
この名庭園に建築された旧弘前偕行社へある人物が宿泊することになります。
その人物はのちの大正天皇として知られる嘉仁親王でした。
嘉仁親王はこの庭園を非常に気に入り「遑止園〈こうしえん:心が休まるという意味〉」の名前を付け、松をご自身の手で植えられたそうです。
現在では嘉仁親王が植えた松の他に桜やつつじなどが植えられ、弘前の有名なお祭りの一つである「弘前さくらまつり」の季節になると遑止園全体に桜が咲き誇り、美しい光景が広がります。
また冬の季節になると遑止園全体に雪が積もって、白一色の幻想的な景色を見ることができます。
【旧弘前偕行社おすすめスポット3】意匠が異なるシャンデリア

3つ目に紹介するのは、館内に設置されているシャンデリアです。
シャンデリアは客室だけでなく、受付や書籍室などにも設置されていますが、場所によってデザインが少しずつ異なっているのが特徴です。
たとえば、受付や書籍室のシャンデリアはシンプルな造り。
一方、北側と南側にある客室のシャンデリアは、第八師団の師団長が利用していた部屋ということもあり、装飾がとても凝ったデザインになっています。
館内を巡りながら、こうしたシャンデリアの違いにも注目してみてください。
次の世代へと継承していく
旧弘前偕行社・広報担当者様「旧弘前偕行社は令和2年にリニューアルオープンを果たしましたが、ちょうどその時期に新型コロナウィルスが蔓延し、日本全国で緊急事態宣言が発令されました。
そのため休館になることが多く、認知度拡大のため大々的な告知ができませんでした。
しかし今年になってようやく緊急事態宣言が解除され、多くの観光客が弘前市内を訪れているため、県内外問わず多くの人に知られる観光名所としてPRしていきたいと考えています。
現在では県内外の企業様の貸し切りイベントを開催したり、パンフレットの配布などで認知拡大を図りながら、明治時代から継承されてきたこの建物を次の世代へと継承し、歴史や建造物を残していきたいと考えています。」
弘前市にお越しの際はぜひ、旧弘前偕行社で明治時代の風情をお楽しみください。
まとめ
数多くの見所のある旧弘前偕行社を満喫する際は、ガイド付きの見学がオススメです。
専属スタッフが、観光客へ館内を解説しながら紹介してくれますので、見逃すことなく楽しむことができます。
また、旧弘前偕行社へは、弘前市内の貸し自転車を使って訪れる観光客の方が多いそうです。
貸し自転車を使って弘前城から旧弘前偕行社を観光し、その後電車を利用して旅館やホテルへ帰る方も。
皆様も弘前市内を貸自転車で周りながら、カフェやランチを楽しんだ後にこちらの旧弘前偕行社を訪れてみてはいかがでしょうか。