津軽の郷土料理や太宰治の好物の他、イマドキのメニューまで楽しめる居酒屋「ドデノメヘヤッコ」。
昭和レトロな外観と豊富なメニューをリーズナブルにいただけることから、地元の大人だけでなく、学生からも愛される人気店です。
今回はドデノメヘヤッコについて紹介します。
ドデノメヘヤッコ 土手町に現る
ずっと前からそこにあるように思える店構えですが、ドデノメヘヤッコが開店したのは2019年4月。
今春ようやく4周年を迎える、比較的新しいお店です。
「飲み仲間のオーナーと、自分たちが行きたくなるあずましい店が欲しいよな、という話で意気投合したんです。」
開店のきっかけについて、お客さんから「ゆーこ店長」と呼ばれ親しまれている、店長の澤田さんはこう話します。
あずましい、は標準語にするのが難しい津軽弁のひとつ。
まるで自分の家のような居心地よさ、といった意味合いになります。
元々、お酒が好きで外で飲み歩くのも大好きだった澤田さんたちですが、飲み屋が無くなったり、変わってしまったりして、なんとなく行きたいお店が無くなってきたなと感じていました。
行きたい店が無いなら、自分たちで作ってしまおう。
そんなオーナーの誘いに、さらりとOKした澤田さん。
とはいえ、まだ違うお仕事もしていましたし、お子さんを抱える母でもあったので、不安もあったと言います。
そして、驚くことに。
オーナーも澤田さんも、飲食店で働いた経験は全くありませんでした。
「実は、私の母がちょうど勤め先の都合で仕事を辞めることになりました。
昔から、たくさんの仲間たちが集まり、母の手料理でもてなすことが多い家でした。
母の料理は評判も良かったことを思い出して、一緒に店をやろうと誘いました。」
お料理好きで、大人数分を作るのも苦ではなかったお母さまですが、飲食店で働いたことはありません。
そんな飲食業初心者3人、手探りでお店を作り出したのは2018年のことでした。
「色々場所は探しました。
既存の建物の中にお店を作るというのは全くイメージできなくて、お店を建てるところから始めようと考えていました。」
そして、現在の場所は運命の出逢いだったと断言します。
「土手町は元気で魅力的な町だという記憶が強く、子どもの頃は土手町に行くことがごほうびのようでした。
ここで店ができたらきっと楽しいって感じました。」
間口はさほど広くないけれど奥まで長い、うなぎの寝床のような土地。
まるで呼び寄せられたように、思い切ってお店を建てました。
澤田さんは、思い出しながら話します。
「自分たちでできる作業はやってみました。
オーナーが設計して、壁の漆喰塗りなんかは、友だちが手伝ってくれたりもして楽しかったです。」
こうして2019年4月、ドデノメヘヤッコは土手町に現れたのです。
一歩入れば懐かしくて新しい昭和レトロ空間
ドデノメヘヤッコが目指すのは、あずましく呑んで食べられる居酒屋食堂。
その内装は、とことん「昭和レトロ」。
あちこちに掛けられた看板や、並ぶおもちゃ、オブジェ、棚なども使い込まれた風合いです。
「オーナーは元々骨董屋さんなので、古いものは手に入れやすかったんです。
自分たちが落ち着く雰囲気にしていったら、こんなちょっと懐かしい空間になりました。」
店長の澤田さんによると、昭和を感じさせる店内の雰囲気は、意外と若いお客さんからも「おばあちゃんちみたい」だと、なかなか好評なのだそうです。
縦に長い土地に建てているため、店舗奥のテーブル席は、調理場からほとんど見えません。
しかし、テーブルには一般的な呼び出しボタンは置かれていません。
お客さんがスタッフを呼びたい時は、テーブルにある色々な小道具を使います。
それぞれの音が違うので、どのテーブルに呼ばれたかわかる仕組みなのですが、その音さえもレトロで、店内にマッチしています。
初めて来店されたお客さんは、まずメニューの多さに驚きます。
メインメニューがそもそも盛りだくさんなのですが、更に「本日のおすすめ」もあります。
このおすすめがかなりの品数で、どれを頼めばいいのか迷いすぎて最初のオーダーがなかなか入らないこともあるのだと、澤田さんは笑いながら教えてくれました。
「とてもありがたいことに、ほぼ毎日来てくださる常連さんもいらっしゃいます。
その方が飽きないようにと考えていたら、どんどん増えてしまいました。」
調理を担当するのは、澤田さんのお母さまと澤田さんの2人だけ。
メニューが多ければ多いほど大変になるのに、どうしても減らせないと言います。
そんなメニューの中で人気があるのは、
・納豆たまご焼
・大鰐産肉厚しいたけのバター焼き
・自家製きゅうりのからし漬け
なのだそうです。
「うちの店で出せるのは、あくまでも家庭料理なんです。
懐かしい味だと言ってくださるお客さまもいて、それはやっぱり嬉しいなと思います。」
ドデノメヘヤッコでは津軽の郷土料理が気軽に食べられるのも魅力です。
石川の赤ウィンナーや、けの汁、貝焼ぎみそなどは、観光客にも好まれるようです。
膨大なメニューに悩むドデノメヘヤッコ初心者さんへ、澤田さんに3つオススメを教えていただきました。
・TVにも取り上げられて認知度が上がっている、太宰も愛した「すじこ納豆ご飯」
・津軽の郷土料理、家庭によって味が全く違う「イガメンチ」
・煮干し粉たっぷりの、「にぼにぼ焼きうどん」
困ったらぜひ、参考にしてくださいね。
お客さまと一緒にあずましい店に
地元の居酒屋って、常連さんがカウンターにずらっと並んでいて入りにくいのでは?と、心配される方もいるようです。
確かに、ドデノメヘヤッコにも常連さんは多いですが、皆さんとても親切なんです、と店長の澤田さんは言います。
例えば、予約時にお誕生日の方がいると聞いていたグループに、頃合いをみて店内にバースデーソングを流し、ちょっとしたデザートを運んだときのことです。
「店内全体がちょっと浮き立って、みんながお祝いしてくれる雰囲気に包まれました。
全く知らないお客さん同士なのに、直接お祝いを言いに席まで行ってみたり、違うテーブルでも乾杯の声がかかったり。
予想以上の一体感でした。」
価格帯が低めなこともあって、学生さんの利用も多く、店内は老若男女が入り混じった空間になるのだと澤田さんは言います。
「人生のベテランさんたちと、お酒の席デビューみたいな子たちが、同じ空間で同じものを楽しめるって、なんだかいいなと思います。」
ドデノメヘヤッコが目指す、あずましい場所というのは、内装に凝ったりするだけでは生まれません。
実際に店内で楽しく呑んで食べて喋っているお客さまたちによって、あずましさが作り出されているのかもしれません。
「うちの店は、ジャージに長靴でも気にせず入ってもらえるような場所です。
皆さんが気軽に来られて笑顔で帰れる場所でありたいですね。」
これまでもこれからも
店長の澤田さんは、ドデノメヘヤッコをオープンした時、友人が口を揃えて「夢が叶ったね」と言うので驚いたと話します。
「私は全く記憶が無いんですけど、高校時代に、飲食店をしてみたい、と何度か口に出してたみたいなんです。」
そんな澤田さんですが、ある時ふと思い出します。
「小学校の文集に、将来は小物をいっぱい置いた食べ物屋さんがしたいって書いていました。
まさに、今のメヘヤッコは雑貨がいっぱい置かれた居酒屋で、夢が叶ってる。
びっくりして鳥肌が立ちました。」
夢を叶えるために頑張って走り続けたのではなく、気がついたら夢に届いていた澤田さん。
では、これからドデノメヘヤッコをどうしていきたいのでしょう。
「少しずつ制限が緩まってきたので、トークショーやライブなども開催してみました。
演者さんとお客さんが、同じものを食べながら楽しめるようなイベントができるといいのかなって、それがメヘヤッコらしさかもしれないなと感じています。」
女性ひとり、ふらっと来ても入りやすいお店でありたいとも話す澤田さん。
店内は喫煙可のため、お子様連れには優しくないかもしれません。
ですが、本当に幅広い年代、多種多様なグループで楽しめるドデノメヘヤッコ。
きっとこれからも、お客さんのお腹と心を満たしてくれる居酒屋食堂として、土手町を元気にしてくれることでしょう。
店名 | ドデノメヘヤッコ |
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場所 | 青森県弘前市土手町101 |
営業時間 | 営業時間 |
電話 | |
公式 | ・Instagram https://instagram.com/dodenomeheyakko |
その他 | ・ご予約は上記電話番号へお電話でお願いします。 |
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