【旧伊東家住宅・旧梅田家住宅】弘前藩の武士の生活が垣間見える、観光スポットを紹介!

歴史・文化

掲載日:2023年3月31日

青森県弘前市には明治時代や大正時代の建築物がたくさんあります。


今回はさらに昔、藩政時代に武士が住んでいた「旧伊東家住宅」と「旧梅田家住宅」を紹介します。 
旧伊東家住宅と旧梅田家住宅は仲町伝統的建造物群保存地区に所在していますが、どのような観光スポットなのでしょうか。   

施設名

旧伊東家住宅

場所

〒036-8333 弘前市若党町80

営業時間

10:00~16:00

定休日

・4~6月:無休
・7~10月:月・木曜日
・11~3月:平日
・年末年始、8/13

電話

0172-35-4724

公式

・HP https://hirosaki-kanko.or.jp/details.html?id=CNT00403281534289619

その他

-

施設名

旧梅田家住宅

場所

〒036-8333 弘前市若党町80

営業時間

10:00~16:00

定休日

・4~6月:無休
・7~10月:月・木曜日
・11月:平日
・年末年始、8/13、12月~3月

電話

0172-35-4724

公式

・HP https://hirosaki-kanko.or.jp/details.html?id=CNT00403281534289619

その他

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江戸時代の生活様式を今に伝える、伝統的建造物群保存地区



まずは「旧伊東家住宅」と「旧梅田家住宅」のある「仲町伝統的建造物群保存地区」について説明します。

伝統的建造物群保存地区とは、城下町や宿場町、門前町など、全国各地に残る歴史的な集落や町並みを守るため、市町村が指定する地域のことです。
中でも特に価値の高い地区は、国が「重要伝統的建造物群保存地区」として選定しています。
たとえば、京都市の産寧坂や石川県金沢市の東山ひがしなど、日本各地で100ヶ所以上が重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

青森県弘前市にも、そのひとつである「弘前市仲町伝統的建造物群保存地区」があります。
この地区は、弘前城の大手門(※四代藩主・津軽信政が亀甲門から変更)北側に広がるエリアで、江戸時代には武家町として栄えました。
特に江戸時代後期からは、中下級武士の住む町として発展した地域です。

このエリア内に、今回ご紹介する「旧伊東家住宅」と「旧梅田家住宅」があります。



19世紀に建てられた旧伊東家住宅



まずは旧伊東家住宅から紹介します。 


「旧伊東家住宅」は19世紀前期の建築と考えられています。 
こちらの「旧伊東家住宅」はその名の通り、弘前藩に仕える伊東氏が代々住んでいた住宅です。 

 
伊東氏は、藩政時代には代々藩医であったそうです。 
「旧伊東家住宅」は元々は元長町にあり、昭和53年に弘前市へ寄贈され、その後、現在地へ移築・復原されました。 



「旧伊東家住宅」の意匠が凝らされた室内



「旧伊東家住宅」の見所は意匠が凝らされた室内です。 


例えば、欄干は下級武士の屋敷とは違い、透かし彫りが施されています。 
更に座敷の天井は、昔ながらの竿縁天井になっています。 


他にも床脇の違い棚などもあり、藩医という中級武士の住宅の様子を見ることができます。



約170年前に建てられたと考えられている武士の住宅「旧梅田家住宅」


次に、「旧梅田家住宅」について紹介します。

旧梅田家住宅は、約170年前に建てられたと考えられている武家住宅です。
もともとは弘前市五十石町に建てられていましたが、明治5年ごろに弘前市在府町へ移築されました。
その後、昭和60年に弘前市へ寄贈され、現在地に移築・復原されています。

この住宅が約170年前、1852年(嘉永5年)に建てられたと考えられる理由は、台所にある戸棚の引き出し裏に「嘉永五壬子年森新次郎代」と記されていたことによります。
さらに、この戸棚と床板の木材の風化具合がほぼ同じだったことから、この年代に建築されたものと推定されています。



当時の生活スタイルや雰囲気がしっかりと感じられる「旧梅田家住宅」



「旧梅田家住宅」には、19世紀前半~中期にかけての武士の生活スタイルが色濃く残ります。
例えば、「旧梅田家住宅」には座敷に天井がありません。


「旧伊東家住宅」ではしっかりと天井がありました。 
当時の伊藤氏と梅田氏の家格の違いや、もらっていた石高の違いなどから、天井の有無という差があるのではないか、と考えられています。 


更に「旧梅田家住宅」を訪れたら壁にも注目してみてください。 
「旧梅田家住宅」の壁は土壁です。
それに対し、中級規模の武家住宅に相当する「旧伊東家住宅」では漆喰壁が使用されていました。 


このように旧伊東家住宅と旧梅田家住宅の二棟を比べてみると、家格の違いによる暮らしぶりの違いも分かり、面白いかもしれませんね。 



地元民や観光客へもっとアピールしていきたい



最後に、仲町伝統的建造物保存地区について弘前市文化財課の担当者の方にお話を伺いました。


「隣接する弘前公園に多くの市民や観光客が訪れるのに比べ、仲町伝統的建造物群保存地区まで足を延ばす方はそれほど多くないのが現状です。 
そのため、弘前市民や観光客の方にも仲町伝統的建造物保存地区のことを知ってもらい、弘前市へ来たら弘前城を見学しつつ、こちらの武家町も見学コースの一つになれるように積極的にアピールしていきたいと思っています。 
一方、この地区は、住宅地でもあり、地区住民にとっては日常生活の場でもあるため、観光客だけでなく地区住民の生活にも配慮することが重要です。」


このように、仲町伝統的建造物群保存地区をいかに多くの人に知ってもらい、観光や地域の活性化につなげていくかが、今後の大きな課題となっているそうです。



まとめ



今回は弘前藩の藩政時代の趣を残した「旧伊東家住宅」と「旧梅田家住宅」について紹介しました。

 
伝統的建造物群保存地区では、他にも藩政時代の趣が残った武家住宅「旧笹森家住宅」と「旧岩田家住宅」があります。
そちらもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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