今年も、弘前の夏がやってきました!
津軽の夜を鮮やかに彩る「弘前ねぷたまつり」。
弘前ねぷたまつりは、毎年8月1日~7日の7日間にわたって開催される、弘前の夏を代表するお祭りです。
約300年の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
そして何といっても見どころは、夜の街を堂々と練り歩く大小さまざまなねぷた!
闇の中に鮮やかな武者絵が浮かび上がり、「ヤーヤドー」の掛け声とともに進んでいく光景は圧巻です。
今回は、期間中でも特に多くのねぷたが出陣した8月3日(月)の様子を、実際に現地で鑑賞した筆者がお届けします!
8月3日は晴れ!ねぷた日和の一日に
筆者が訪れた8月3日の天気は晴れ!
一方、まつり初日の8月1日はあいにくの雨模様でした。
弘前ねぷたまつりは基本的に雨天決行。
雨の日には、ねぷたに大きな雨よけをかぶせて運行することもあります。
雨粒や濡れた路面にねぷたの灯りが反射し、晴れの日とはまた違った幻想的な光景が広がります。
そんな雨の初日から一転、8月3日は気持ちのよい晴れ!
筆者は土手町のアップルウェーブ付近で鑑賞しました♪
午後4時~|まつりを待つ土手町へ
午後4時ごろの土手町は、まだ人通りもまばら。
沿道では観覧席の準備が進み、お店の人たちも忙しそうに行き来しています。
どこからともなく、おいしそうな匂いも漂い、いつもの土手町とは少し違う雰囲気。
まち全体が、これから始まる夜を待っているようです。

日中は夏らしい暑さでしたが、夕方になると気温も落ち着き、半袖でちょうどいいくらいに。
さあ、ここから土手町はどんな夜を迎えるのでしょうか!
ねぷたの運行開始まで、あと少しです。
午後7時|いよいよ、ねぷた運行開始!

いよいよ、ねぷたの合同運行が始まります。
このころになると、沿道は「溢れる」という言葉がぴったりなくらいの人、人、人!
大勢の観客が待つ中、合同運行の始まりを告げるのは「津軽情っ張り大太鼓」。
力強く、そして荘厳……!
見上げるほどの大太鼓から、身体の奥まで震わせるような低音が響き渡ります。
そして、いよいよねぷたが登場!
この日は、なんと40基以上が運行しました。
どれも紹介したいところですが、全部書いていたら辞書並みの長さになってしまいそう……。
ということで、ここからはうまく写真に収められたねぷたを中心に、ハイライトでレポートしていきます!
ねぷた集団「がほんず」

1980年から運行に参加している、ねぷた集団「がほんず」。
現在は電球やLEDの明かりが主流ですが、「がほんず」は初陣以来、「ねぷたの灯りは蝋燭でなければ」という思いから、今も蝋燭ねぷたを出し続けています。
柔らかな蝋燭の灯りは、電気とはまた違った風情があります。
(今回、筆者が撮影できたのは見送り絵だけでした……悔しい!)
見送り絵は「豊歳五節句遊文月~七夕祭り」。
天の川や短冊など七夕らしいモチーフと、深い緑の色合いが涼しげです。
……と思いきや、よく見ると生首も描かれていて、ちょっぴりホラー。
美しさの中に妖しさも感じる見送り絵でした。
「がほんず」は、2026年の弘前ねぷたまつりで東奥日報社奨励賞と運行賞を受賞しています!
午後8時|闇に浮かび上がる、ねぷたの灯り
午後8時を過ぎるころには、あたりはすっかり真っ暗。
ねぷたの灯りがひときわ美しく映える時間帯です。
沿道の出店は多くの人で賑わい、浴衣姿の人もちらほら。
大型ねぷたも次々と姿を現し、少しでも近くで見ようと立ち上がる人も増えてきました。
暗くなった土手町に鮮やかなねぷたが浮かび、夜はいっそう盛り上がっていきます!
向外瀬ねぷた愛好会

青森県知事賞を受賞した、大型の組ねぷたです。
まず目を奪われるのは、こちらを圧倒するような大天狗の大きな顔!
太い線で描かれた眉に、ぎょろりとした目。
鋭い眼光がものすごい迫力です。
対する牛若丸は、太刀を振るい大天狗へ立ち向かう姿。
台座から大きく踏み出した足からも躍動感が伝わります。
両者が対峙する緊張感と、鮮やかな色彩のコントラストが美しい、大迫力の組ねぷたでした!
大浦為信侫武多會

結成から30年以上の歴史を持つ大浦為信侫武多會。
こちらの大型ねぷたは、弘前青年会議所理事長賞を受賞しています。
大浦為信(のちの津軽為信)は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍し、弘前藩の礎を築いた武将です。
画の中心に堂々と描かれる為信。
くわっと見開いた目に、血気迫るたくましい表情。
そして大きくうねる鬢髭からも、戦いの激しさが伝わってきます。
刀を交え、まさに「奮戦」の真っただ中。
人物の動きはもちろん、兜など細部までびっしりと描き込まれていて、近くで見るほどその迫力に引き込まれます。
桜ヶ丘ねぷた愛好会

弘前商工会議所会頭賞を受賞したねぷたです。
史進(ししん)と陳達(ちんたつ)は、中国四大奇書の一つに数えられる『水滸伝』の登場人物。
史進は精悍な美丈夫で、上半身に9匹の青龍をかたどった刺青があることから、「九紋龍(くもんりゅう)」の異名を持つ人物です。
そう聞いて改めてねぷたを見てみると、中央の人物の身体いっぱいに広がる鮮やかな刺青には、たしかに龍の姿が!
この人物が史進でしょうか?
そして左上には、槍を構えて対峙する人物の姿(陳達かしら?)も見えます。
大きく踏み込む身体、交差する武器、険しい表情。
画面いっぱいに動きが広がり、今まさに戦いが繰り広げられているような臨場感があります。
さらに目を引くのが、夜の闇にも負けない鮮やかな赤!
人物の表情や構図、色彩まで、絵全体で物語をまさに「魅せる」ねぷたでした。
東日流ねぷた雅会

こちらも『水滸伝』を題材にしたねぷた。
盧俊義(ろしゅんぎ)は、『水滸伝』に登場する豪傑の一人です。
描かれるのは、タイトル通り勇ましく戦う姿。
カラフルな色彩が暗闇の中で鮮やかに浮かび上がり、弘前の夜を彩ります。
そして注目したいのは、正面の絵だけではありません。
ねぷたの側面、鏡絵と見送り絵をつなぐ部分は「肩」と呼ばれ、町名や団体名などが記されることも多い場所。
こちらには、ぐるりと取り囲むように龍が描かれていました!
黒と赤を基調とした色使いに、うねる龍。
全体に統一感があり、洗練された格好よさがあります。
ねぷたが目の前を通り過ぎていくときには、ぜひ横側にも注目です!

そして、後ろへ回ると雰囲気が一変。
見送り絵には、瞳を閉じた女性が。
しかし、穏やかな表情とは対照的に、背中には大きな般若の刺青が描かれています。
周囲には雲のような意匠が袖絵へと続き、その先には虹や龍の姿も。
正面、横、そして後ろへ…。
通り過ぎるわずかな時間にも次々と新しい絵が現れるのが、ねぷたのおもしろさですね。
相馬ねぷた愛好会

こちらは、子どもたちの活躍がかわいらしくて思わず撮影した一枚。
小型の前ねぷたを動かし、観客の目の前でぐるぐる!
懸命にねぷたを動かしながら沿道を盛り上げる姿に、観客からは大きな拍手が送られます。
迫力満点の大型ねぷただけでなく、こうした地域の人たちの姿を間近で見られるのも、弘前ねぷたまつりの魅力ですね。

ねぷたの後ろから聞こえてくるのは、祭りの夜を絶え間なく満たす囃子の音。
細長いばちを大きくしならせながら、太鼓を力強く打ち鳴らします。
暗闇の中、灯りを浴びながら太鼓を叩く姿は、まるでスポットライトを浴びているようです。
目で追うねぷたの鮮やかさと、身体に響いてくる囃子の音。
どちらも合わさって、弘前ねぷたまつりの夜をつくり上げていきます。
弘前自衛隊ねぷた協力会

そして、沿道がまた一段とざわめきます…!
弘前自衛隊ねぷた協力会で披露される、自衛隊の新隊員の皆さんによる剣舞です!
(写真は演舞のようす。剣舞は動画で撮ったものの、写真に残せなかったです……悔しい!)
剣舞を楽しみにしている人も多く、始まるころには前方へ移動する観客の姿も。
揃いの和装に身を包み、一糸乱れぬ動きで舞う姿は圧巻!
照明を反射して、振るわれる剣の刃がきらりと光ります。
ねぷただけでは終わらない。
次々と見どころがやってくるから、目が離せません…!
午後9時|夜は深まっても、ねぷたはまだまだ続く!
夜も深まりましたが、弘前ねぷたまつりはまだまだ終わりません!
大型ねぷたが続々と運行する一方、沿道では飲み物を片手に、席に腰を落ち着けて鑑賞する人の姿も。
夜も終盤。
少しゆったりとした空気の中、最後までねぷたを楽しみます!
海遊会

描かれているのは、「平治の乱」における源氏と平氏の若武者同士の対決です。
源義平と平重盛が、紫宸殿の右近の橘・左近の桜の間で激戦を繰り広げる場面。
向かい合う二人は、互いの馬までぶつけ合わんばかりの勢い!
今にも正面から激突しそうな構図から、戦いの切迫感が伝わってきます。
馬の躍動感や武者たちの勇ましい姿はもちろん、装束など細部まで鮮やか。
近くで見るほど、その細かな描き込みにも目を奪われます。

勇壮な鏡絵から後ろへ回ると、がらりと雰囲気が変わります。
弘前のねぷたは、ちょっぴり「怖い」絵が多いともいわれています。
そんな妖しさを感じたのが、見送り絵「八百屋お七」。
お七は江戸・本郷の八百屋の娘で、恋人に会いたい一心から放火事件を起こし、火刑に処されたと伝えられる少女です。
見送り絵には梯子を上るお七、袖絵には白い肌の女性と炎が描かれ、思わずぞっとさせられます…!
鮮やかで勇壮なだけでなく、美しさの中にどこか妖しさや恐ろしさを感じるのも、弘前ねぷたの魅力のひとつですね。
午後9時30分すぎ|約2時間30分の運行が終了!
約2時間30分にわたる、この日の運行が終了しました!
40基以上ものねぷたをたっぷり堪能して、もうおなかいっぱい!
……と言いつつ、終わってしまうとちょっぴり名残惜しい。
熱気の残る土手町をあとにして、この日のねぷた鑑賞は終了です!
おわりに
いかがでしたでしょうか?
目の前を通り過ぎるねぷたの迫力、暗闇に浮かぶ鮮やかな武者絵、身体に響く太鼓の音、沿道から聞こえる歓声…。
今年も「弘前ねぷたまつり」の魅力を、たっぷりと感じることができました!
題材や色使い、囃子、運行の仕方も団体ごとにさまざま。
「次はどんなねぷたが来るんだろう?」と待つ時間まで楽しく、約2時間30分があっという間でした。
毎年8月、弘前のまちがねぷたの灯りと「ヤーヤドー」の掛け声に包まれる7日間。
ぜひ一度、弘前の夏の夜を彩るねぷたを間近で楽しんでみてください!
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