【弘前市立博物館】景観と名建築を味わいながら、弘前の歴史と文化を堪能しよう!!



文化の町と言われている、青森県弘前市。
そんな弘前市の文化を感じられる代表的な施設が「弘前市立博物館」です。

弘前市立博物館は常設展示のほか折々に特別企画展・企画展を開催し、地元の方々にも親しまれています。
また、弘前市立博物館は前川國男という日本近代建築の巨匠が手掛けた建築物であることから、近代建築をめぐる観光客にも人気のスポットです。
今回は弘前市立博物館の学芸員の方にお話を伺うことができました。



景観と調和する博物館




弘前市立博物館は、昭和51年(1976)に日本近代建築の巨匠・前川國男が手掛けた建物で、史跡・弘前城跡の三の丸内にあります。
史跡の景観を損なわないようにするため様々な工夫が凝らされています。




外壁は、前川國男独自の工法が用いられています。
前川建築後期の作品によく見られた、深みのある赤茶色の打ち込みタイルで、周辺の環境によく溶け込んでいます。
また、博物館設計にあたって前川は、弘前公園の史跡景観に配慮して周辺の樹木を伐採せずに、弘前城跡に調和するよう努めたとされます。




建物内にも前川建築独特の意匠が随所に見られます。
博物館中央のロビーは、天井まで伸びる大きなガラス窓で、弘前城の未申櫓や岩木山も眺望できます。
シーズンごとに変わる木々の景観などを望むことができるため、自然豊かな弘前公園の風景も楽しめます。



博物館の正面玄関右手や館内ロビーなどにあるコンクリート打ちっぱなしの柱にも特徴があります。
この柱は桶のような円柱状の型枠を木で作り、コンクリートをその型枠に流し込んで作られています。
このように仕上げることで、木目が映え、単なるコンクリート製の柱よりも温もりを感じられるようになっています。



大人から子供まで楽しめる企画展



弘前市立博物館では様々な特別展や企画展が開催され、大人から子供まで楽しめます。
例えば、2019年にデビューして数々の絵本で受賞歴がある町田尚子の特別企画展「隙あらば猫~町田尚子絵本原画展~」では、かわいらしい猫の絵本原画が展示されており、多くの方が訪れたそうです。

他にも、昨年上映された「バカ塗りの娘」で注目を浴びた津軽塗などを取り上げた企画展「「バカ」がつくほど愛してる。~津軽塗・こぎん・ねぷた~」も開催されました。
昨年11月26日まで開催された企画展「THE 新版画 ~版元・渡邊庄三郎の挑戦~」は大盛況で、図録は完売したのだとか。
このようにいろいろな企画展を催しています。



年末年始ならではの企画展




弘前市立博物館では2023年12月9日〈土〉~2024年2月12日〈月〉まで「博物館に初詣!」と題した企画展を開催しています。
本企画展のコンセプトは「お正月らしい縁起のいい資料をご覧いただき、観覧者の方におめでたい気分をより楽しんでいただけるような展覧会」としたとのことです。

この企画展では掛軸や土人形などの資料が125点展示されています。
今回はその中でも特にオススメの展示品3点をご紹介します。

見ごたえたっぷりの干支凧




まず「博物館に初詣!」の企画展で見ていただきたい作品は干支凧です。
こちらの作品は子から亥までの十二支の動物と、各々に関連する歴史上の人物や神様が一緒に描かれています。
干支凧は、昭和期のねぷた絵師としても知られる阿部義夫の作品です。

干支凧は本画だけでも迫力があって見ごたえがありますが、今回はそれに加えて貴重な下絵も一緒に展示されています。
そのため両方を見比べながら楽しんでいただけます。



今年の干支にちなんだ龍図




次に紹介するのは今年の干支である甲辰にちなんだ作品・龍図です。
こちらは南宋時代中国の画家である陳容の作品とされます。全長2m70㎝×1m20㎝と大迫力の展示品です。
空を仰いでいる龍が描かれ見ごたえもばっちりですので、ぜひご覧ください。



カラフルで縁起のいい引札




明治時代~大正時代までお正月になると各商店では、引札と呼ばれるチラシを配布していたそうです。
この引札はチラシとして販促に使用しただけではなく、暦を一緒に入れることで、現代のカレンダーのように長く使用できる工夫もしていたそうです。
引札にはとてもおしゃれな絵柄や縁起のいい絵柄もあり、見ているだけでも楽しいものです。



弘前市の観光スポットを巡る前に歴史や民俗を知ろう



弘前市立博物館では特別企画展や企画展の他に、いつでも弘前の歴史を学ぶことができるように常設展があります。
常設展では弘前や津軽の歴史、文化・民俗について、大人から子供まで分かりやすいように工夫して展示されています。
どのような展示物があるのでしょうか。

例えば、弘前市にある「十腰内(2)遺跡(とこしない2いせき)」から出土した、縄文時代の「猪形土製品」(重要文化財)。
こちらはかわいらしい見た目の土製品で、弘前市立博物館のマスコットキャラクターにもなっています。

他にも、弘前藩の基礎を作った初代藩主・津軽為信が居城としていた堀越城跡から出土したすり鉢や天目茶碗、箔押しの武具(弘前市教育委員会蔵)や、弘前城跡から出土した遺物(陶磁器など)が展示されています。

また、近現代の資料としては、野辺地戦争の図や、弘前にあった第八師団の図面、りんごの生産地として知られる弘前のりんご産業の成立に関する資料などがあり、現在の弘前に至る歴史を知ることができます。

民俗分野ではねぷたの様子を描いた竹森節堂の「ねぷた風物詩 ねぷた喧嘩の図」(昭和41年〉や、昭和時代のお山参詣の写真など、伝統工芸コーナーにはこぎん刺しや津軽塗などが紹介されています。

このように、弘前市立博物館には常設展示として、弘前の歴史や民俗を知ることのできる資料が100点以上(※特別企画展・企画展の内容によって縮小される場合もあります)展示されているため、弘前城や他の観光地の理解が深まり、観光地をより楽しく巡ることができます。



弘前市の歴史や文化を知ってほしい



ここまで弘前市立博物館について色々とご紹介してきましたが、最後に今後の展望について伺いました。
「今後も市民のみなさまに親しまれる、歴史や文化、芸術を学ぶことのできる施設として、よりよい展覧会を開催できるよう、職員一同努力していきたいと考えています。
子どもから大人まで楽しんでいただける、市民の皆様が親しみやすい博物館を目指していきたいですし、同時に観光で弘前を訪れていただいた方にも、弘前の歴史や魅力について知っていただけるような展示を企画していきたいと思います。
特別企画展・企画展も様々なジャンルで開催し、何度でも足を運びたいと思っていただけるような博物館を目指して参ります。」

今後も様々な展覧会を実施して進化を続けていく弘前市立博物館。
弘前市へ遊びに来たら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。



まとめ



今回は弘前市立博物館について色々とご紹介してきました。
余談ですが、今回紹介した国の重要文化財に指定されている猪形土製品を模したキャラクターがいます。
「いのっち」の愛称で親しまれ、館内では様々なグッズも販売していますので、気になる方はチェックしてみてください。
今後も弘前市内にある色々な観光地やイベント、飲食店などを取材してお伝えしていきますので、ぜひ次回もご覧ください。



○施設名:弘前市立博物館
○場所:青森県弘前市下白銀町1-6
○電話:0172-35-0700
○営業時間:9:30~16:30
○休館日:第3月曜日(祝・休日の場合は翌日)
 ※ ただし、特別企画展開催中は無休
 ※年末年始・展示替え期間中は臨時休業
○公式
 ・HP https://www.city.hirosaki.aomori.jp/hakubutsukan/index.html
 ・Instagram https://www.instagram.com/hirosaki_city_museum/

 

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