【古民家カフェ山の子】高岡の森の癒しカフェ

テレビドラマや雑誌の特集でも人気の、古民家カフェ。
かつて誰かが暮らしていた古い民家は、どこか懐かしさを感じさせ、一人でもゆっくり過ごせる空間です。
弘前市高岡、岩木山にほど近い高照神社門前にたたずむ、「高岡の森 古民家カフェ山の子」(以下、山の子)もまた、まちなかとは違う優しい時間が流れています。
今回は、この山の子について紹介していきます。




高岡の森に「山の子」ができるまで




弘前市街から岩木山神社を目指すと、途中にあるのが高照神社。
四代目藩主・津軽信政公の霊廟として建てられた由緒ある神社の、まさに門前にあるのが山の子です。
看板がなければ、ごくごく普通の古民家。
いったいなぜここでカフェを始めたのですか?という問いに対して店主の高木恵美子さんは、意外なことを教えてくれました。
「家の屋根が飛んじゃったんです、強風で。」

それは2016年春先のこと。
高木さんの自宅は、思いがけない強風のために、自宅の屋根のトタンが飛び、軒先も傷むなど家屋に被害が出てしまいました。
既に築80年になる年季の入った古民家でしたので、壊れた部分だけを修繕するにしても、正直かなりの出費でした。

いっそ家全体を改装した方がいいのだろうかと家族で悩んでいる中、ご主人がまさかの提案をしてきました。
「どうせ改装するんだったら、座敷をカフェにすればいいんじゃないかと。
古民家カフェにしたらどうかと言い出したんです。」

目と鼻の先にある高照神社に資料館ができることから、高岡にも観光客が来るようになるけれど、近隣には気軽に立ち寄れるようなカフェはありませんでした。
自宅を改装して古民家カフェにして、郷土料理なども出せたら、観光客だけでなく地元の方々にも居場所ができて地域おこしになるのではないか、と考えたのです。

「それで、主人がやるのかと思ったら、私だと。
私がカフェをやればいいと言われたんです。」
弘前市の市街地から、高岡の地に嫁いだ恵美子さん。
それまで飲食店での勤務経験は無く、料理教室に通ってはいましたが、あくまでもそれは家庭料理。

そんな自分にカフェなんてできるだろうかと思いつつも、古民家カフェを開業するならば、と漠然と思い描いていた時に、ビジネスアイデアコンテストの存在を知ります。
「弘前市商工会議所が開催してたもので、古民家カフェのコンセプトを書き出して応募してみたら、一次審査を通ってしまったんです。」

秋に開催される最終選考プレゼンのために、初めてのパワーポイントで四苦八苦した恵美子さんでしたが、友人の助言も得て臨んだ結果、まさかのグランプリを受賞。
「受賞してから2年以内にアイディアを実現できたら補助金として賞金がいただけるものだったので、そこからどんどん開業に向けて動き出しました。」

ひろさきビジネス支援センターで相談し、事業計画書を作成したり、様々な情報を教えてもらう中で、恵美子さんはクラウドファンディング(CF)の存在をを知りました。
ちょうど青森県がCF会社とタッグを組んだ企画があり、そこでの挑戦が認められました。
「とにかく、自分で動かなくちゃと思って必死でした。
それでも、このおかげで繋がったご縁は今でも続いているので挑戦して良かったって本当に思っています。」

改装のために同級生に声を掛けたり、郷土料理を改めて学んだり。
家族はもちろん、自分の周りにいる友人知人を頼りながら準備を進めました。
また、中南県民局取材の「農のふれカフェセミナー」にも参加し、農家レストランなどを開業するために必要なことも学ぶことができました。

「店主の私も素人、スタッフさんも急にお願いした友人などで初心者。
でも雪が積もる前に開店したいと、まさに見切り発車でした。」
こうして山の子は、2018年11月1日11時、オープンを迎えます。

親族の部屋から地域と旅人をつなぐ場所へ
雪の季節を目前に控える中、バタバタとスタートした山の子。
やはり、古民家ならではの大変さもあります。




「土台、基礎から補強してもらって。
柱や梁といった部分は昔のままですが、床も壁も新しくしなければ色々な基準をクリアできませんでした。」
柱や欄間などは、年を重ねたことで味わい深い色合いですが、襖や障子といった部分は思い切って外し、大きなガラス戸からは前庭がよく見えます。




靴を脱いで入るので、友だちや親戚の家にお邪魔しているような感覚になります。
「靴を脱ぐのって、面倒かなとも思いましたが、小さなお子さんが一緒だとこの方が安心して過ごせるかなとも思い、このスタイルにしています。」
座卓の中には、囲炉裏をリメイクしたものもあり、年配の方には懐かしく、若い世代には新しく感じられる空間になっています。




「親戚が集まる時くらいしか使ってなかった部屋が、今はこうしてお客さんたちが来てくれる場所になりました。」
観光客はもちろん、地元の方、地域の方など、幅広い世代のお客さんが出入りする山の子。
更には、CFで応援してくれた方々も顔を出してくれています。
「大阪にお住まいで、岩木山神社がお好きな方が支援してくださったんですが、年に一度参詣に来られる時に立ち寄ってくれます。
こういうご縁ってありがたいなと思います。」
こうして山の子は、少しずつ、地域と旅人をつなぐ場所になりつつあります。



優しく美味しく懐かしい食事




そんな山の子、お食事メニューのオススメはなんといっても「けの汁ご膳」です。
津軽の伝統的な家庭料理である「けの汁」は、野菜や山菜などを細かく刻んで煮込んだ、具沢山のお味噌汁。

「けの汁はどうしても提供したいと思っていたので、郷土料理について改めて学び直しました。
そして、通っていた料理教室の先生にメニューの監修をお願いしました。」
山の子の「けの汁」は、とにかく具材が細かい!




提供される副菜は、季節によって変わっていきます。
それぞれが丁寧に手の込んだお料理で、少しずつたっぷり食べることができます。
「青森県は美味しいものがたくさんあります。
折角なので、できる限り青森のもの、津軽のものを使いたいと思っています。」

また、もうひとつの目玉は「チキンカレー」。
こちらは、恵美子さんの息子さんが担当されています。
「元々料理が好きな子でしたが、いざカフェをすることになったら、カレーについては全面的に任せられるようになったので助かっています。」

その他、山菜そばや豆乳ホワイトソースのチキンドリアなどもあり、けの汁が苦手な方でも楽しんでもらえるメニュー構成になっています。
ランチメニューに手をかけているので、デザート類は自家製のものは少ないですが、地元のお菓子屋さんなどに委託して手づくりのスイーツを出しています。




コーヒーは弘前市内のカフェのブレンドを使い、ハンドドリップで淹れてくれます。
「コーヒー豆を仕入れているカフェで、息子と一緒に美味しい淹れ方を習ってきました。
なので、忙しくてもハンドドリップで淹れることは大事にしています。」




お子さんに嬉しい、地元弘前のりんごジュースや、県産のハマナスの花やクロモジの葉を使った和ハーブティーなど、ドリンク類も多彩です。
そしてどのメニューも、お腹に心に沁みてくる優しい美味しさが魅力です。
不便な場所ながら、リピーターさんが多いのも頷けます。



高岡の森と山の子のこれから




高岡の森、高照神社の門前にある古民家カフェ、山の子。
やはりこの場所全体を大切にしたいと恵美子さんは話します。
「今、高照神社の改修をしようという活動が始まっています。
この神社、森があっての高岡なのでこの場所は大切にしたいですね。」

岩木山神社とはまた違う、けれど穏やかな空気に包まれている岩木山麓の高岡地区。
それだけに、冬場はどうしても、立地的に集客が難しいようです。
恵美子さんは、冬の時期に平日来てもらえるような取り組みとして、地元の作家さんたちにワークショップを開催してもらうようにしました。
「津軽ならではのものをということで、こぎん刺しや津軽塗研ぎ出しのワークショップをお願いしています。
ワークショップ目当てで来て山の子の存在を知ってもらえたらと思って、今では毎月開催しています。」

ランチメニューについても、まだまだ増やしたいと意気込む恵美子さん。
津軽の美味しいものを美味しい時期に食べてもらいたいという想いが溢れていました。
また、新型コロナウィルスが収まりつつある中、山の子で郷土料理教室もできたらいいな、と夢は膨らみます。

そう言えば、カフェをやろうと言い出したご主人は、どうされているのでしょう。
「主人は、庭仕事などを自主的にしてくれています。
私はカフェで手一杯なので、花や木を増やしたり雑草を刈ったりして、お客さんが喜ぶ庭にしてくれているので助かっています。」

そして息子さんは、営業後に声を掛けてくれることもあるのだそうです。
「今日、何を仕込めばいい?って聞いてくれるんです。
こうやって、手伝ってくれるのは本当に嬉しいですよね。
なんだかんだ、家族みんな協力してくれています。」

山の子に流れる優しい空気感は、この家族の熱意と、スタッフさんたちの気遣いから生まれるのかもしれません。
高岡の森が少しずつ変わりながら残っていくように、山の子はこれからもゆるやかに変化しながら、地域の旅人の拠点として続いていくことでしょう。



〇施設名:高岡の森 古民家カフェ山の子
〇場所:弘前市高岡獅子沢2-2
 ※店の奥に駐車場あり(道路との出入口が狭くなっておりますので、譲り合ってお入りください)
〇電話:0172-26-8785
〇営業時間:11:00~17:00
〇定休日:毎週火曜日、第1・3月曜日
〇公式
 ・HP https://hirosaki-yamanoko.com/
 ・Instagram https://www.instagram.com/hirosaki.yamanoko
〇その他:バスご利用の場合 
 ・行き…岩木山神社方面枯木平行き「高岡」バス停目の前
 ・帰り…高岡から弘前駅方面へのバス停はありませんが、山の子前で手を挙げるとバスが停車してくれます。
     不安な方は坂を下りたところにある「高岡東口」バス停をご利用ください。
 ※バスは大体2時間に1本運行です。



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